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NEMブロックチェーンで電力を見える化『みんな電力』ってどんなサービス?

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2016年の電力自由化以降、電力小売事業への参入の規制緩和がされ市場競争が導入されました。そんな中、ユニークな電力サービスを提供しているのが『みんな電力』です。

みんな電力が提供するサービスは「電気の小売」です。野菜や食肉などをスーパーで買うときに「私が育てました」と生産者の顔が載っていると安心しますが、そのような消費文化を電力にも持ち込もうとしているのがみんな電力なのです。

さらに、みんな電力はNEMのパブリックブロックチェーンを利用して電力のトレーサビリティを実現しようとしています。みんな電力とは一体どのようなプロジェクトなのか、なぜブロックチェーンの導入を進めているのか、解説していきます。

みんな電力の3つの特徴

まず、みんな電力の事業内容について簡単に解説します。特徴を簡潔に表現すると、エコで透明性の高い電力を一般家庭に届ける事、そして優良な電力生産者を応援できる事がみんな電力のユニークなポイントです

それでは、みんな電力の持つ3つの特徴を紹介します。

電力生産者を見える化して応援

電気の小売と同様、電気を生産する事業も自由化されており、昨今ではユニークな発電所がどんどん参入しています。そうなると、電力を使う側として気になるのは「生産者の顔」です。

みんな電力では電力生産者の顔を見える化することで、消費者に安心や共感を与えています。例えば、電力発電所Aでは電力売上の一部を発展途上国の寄付にあてているとします。この運動に共感した消費者は、電力発電所Aを指定して電力を買うことができるのです

まさに野菜や食肉のように、電力も生産者の顔が見えることがバリューに繋がっています。

高いFIT電気比率で環境貢献

上記のグラフからわかるように、みんな電力はFIT電気の構成比率が高いのが特徴です。

FIT電気という言葉に馴染みがないと思うので簡単に説明します。

FIT電気とは固定価格買取制度(FIT制度)によって買い取られた再生可能エネルギーのことです。

固定価格買取制度は再生可能エネルギーの導入を推進するための制度です。再生可能エネルギーは環境には優しいのですが、まだまだコストが高いのが現状です。

エネルギー庁のホームページでは、下記のように説明されています。

「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」は、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。電力会社が買い取る費用の一部を電気をご利用の皆様から賦課金という形で集め、今はまだコストの高い再生可能エネルギーの導入を支えていきます。この制度により、発電設備の高い建設コストも回収の見通しが立ちやすくなり、より普及が進みます

要するに、みんな電力は未来の電力であるFIT電気を積極的に利用して環境に貢献しようとしているのです

透明性の高い電気料金

シミュレーターを導入した経緯として、新電力の電気料金コストの4割近くを占める「託送料金」があります。託送料金の多大なコストが一因となり、新電力に切り替えても価格の低下のメリットが少なくなってしまう課題があります。

しかし、託送料金水準の妥当性は不透明なまま。したがって、消費者は電力システムの料金体型に対する漫然とした不信感を抱えてしまっています。その不信感を払拭するためのサービス提供の一環として、みんな電力はシュミレーターを導入し「日本一高い透明性」の電気料金メニューを目指しています。

ブロックチェーンの電力取引システム『ENECTION2.0』

みんな電力はブロックチェーンを利用した電力取引システム『ENECTION2.0』という仕組みを作り上げました。

企業活動を再生可能エネルギー100%にするための国際イニシアチブ『RE100』が進展している中で、みんな電力はブロックチェーン活用によって世界的に一歩進んだ電力トレーサビリティの商用化の実現を目指しています。

ENECTION2.0が具体的にどのようにブロックチェーンを利用しているのか、今後はどのような展開を見据えているのかを解説します。

「どの電源からどれだけ電気を買ったか」証明

前述のRE100の進展を受けて、国際的には電力トレーサビリティの実現がトレンドになりつつあります。RE100に参加する企業としては「弊社はどこどこの再生可能エネルギーを使っています」と証明する必要があるわけです。電力において、トレーサビリティを実施することは難易度が高く、長年の課題となっていました。

みんな電力はこの課題を解決するためにブロックチェーンを活用した試験を実施しました。ブロックチェーンの性質を利用することで、電力の発電量と需要量をマッチングし、台帳に記録するのです。ブロックチェーンは大規模なサーバーも必要なく、改ざんが不可能なので小回りの効く電力トレーサビリティが可能になりました。

その結果、試験に参加した新宿丸井などの電力を30分単位でトレーサビリティを行うことに成功しています

NEMチェーンで電力を見える化

30分単位でトレーサビリティを行うことで、発電事業者と消費者をマッチングすることができるようになります。

その電力取引システムを実現するために、みんな電力はNEMのパブリックブロックチェーンを採用しています。

試験運用の実績では、約70%がマッチングに成功したとのことです。ネットワークへの参加者が増えればさらにマッチング率は上がっていきそうですね。

このシステムが実現したことで、消費者は顔の見える電力発電所を指定して電力を購入することができるようになるわけです。

発電源証明コストが半分以下に

ブロックチェーンを採用するメリットとして、大規模システムでも運用コストが抑えられることが挙げられます。

ENECTIONでも大幅なコスト減が報告されています。既存の環境価値のトレーサビリティシステムは年単位でトラッキングするためにコストが約25万円かかっていました。一方、ENECTIONは30分ごとの電力トラッキングが可能で、年間のコストは約10万円に抑えられます。ブロックチェーンの調整を最適化することで、コストはさらに10分の1に抑えられる見込みだそうです。

小回りが効くトラッキングと、半分以下のコストを試験運用で実証できているのは、業界内でのインパクトも大きいでしょう。

2019年内に4つのサービスをリリース予定

2019年1月現在では試験運用の実績しか公開されていないENECTIONですが、2019年内にプラットフォームとして商用化されていく計画です。

2019年内に4つのプロダクトがリリースされる予定で、RE100企業向けのサービスや、余剰電力の取引システムなど、一気に実用化に向けて動き出します。

環境問題は世界的な足並みが揃わずに行き先が不透明ですが、みんな電力のような革命的なサービスが受け入れられれば、世の中の風潮も変わってくるかもしれません。電力とブロックチェーンは今後も盛り上がる分野となりそうです。

【参考ページ】
世界初!ブロックチェーンによる電力トレーサビリティを商用化!
みんな電力ホームページ

この記事の著者
久野太一
ライブドア、LINE、サイバーエージェントを経て福岡へ移住。福岡のベンチャー企業グッドラックスリーのブロックチェーン事業でICOのマーケティングとユーザーコミュニケーションを経験し現在フリー。
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