HOME ブロックチェーン技術 Libraは広告に次ぐ柱となるか?Facebookの狙う壮大なビジネスモデルを解説

Libraは広告に次ぐ柱となるか?Facebookの狙う壮大なビジネスモデルを解説

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ついにベールを脱いだFacebookの独自コイン『Libra(リブラ)』構想。

デジタル金融インフラとして、銀行口座を持たない人でも通貨の送受信ができるプロダクトであることがわかりました。

ただ、仮想通貨による送受信機能をFacebookが開発する必要性はどこにあるのでしょうか。

現状ではFacebookの売上のほとんどが広告によるものですが、リブラ構想では広告によるマネタイズについて言及はありませんでした。

仮想通貨のプロジェクトは往々にしてコイン発行者のビジネスモデルがわかりにくい場合が多いです。

しかしFacebookは、リブラでのマネタイズポイントを明確に持っています。

軌道に乗れば、広告事業に次ぐ新たな売上の柱になりうるリブラのビジネスモデルを解説します。

Libra(リブラ)の特徴まとめ

まずは簡単にリブラの特徴をおさらいしておきます。詳細についてはこちらの記事で解説しています。

  • 独自通貨Libra(リブラ)を利用した金融インフラ
  • 銀行口座を持てない途上国がメインターゲット
  • ウォレットアプリ『Calibra(カリブラ)』でコインを送受信
  • コインの送受信はカリブラアプリ、Messenger、WhatsUpで利用可能
  • コンソーシアムで組織されたLibra協会が運営
  • ネットワークは「許可型」からスタートし5年以内に「非許可型」へ移行予定
  • コインは安定した通貨や公債をリザーブした「低ボラティリティ資産」

以上の特徴から、どこをマネタイズポイントとしたビジネスモデルを展開するのでしょうか。

Libra(リブラ)マネタイズのキモとなる2つのポイント

Libraへの参加

リブラのビジネスモデルを知る前提で知っておきたいポイントが2つあります。

ひとつは、リブラという通貨が「バスケット通貨」である点、もうふたつ目はコンソーシアムに参加している「創立者」へのインセンティブです。

これらはリブラのユニークな点でもあるので、ざっくりと解説していきます。

リブラは低リスクなバスケット通貨

リブラがビットコインと異なるのは、裏付けとなる資産があることです。ビットコインなどの仮想通貨は価値を裏付ける資産がないため、ボラティリティが生まれやすくなっています。

もうひとつ比較対象を挙げると、リブラはテザーが発行するUSDTとも仕組みがことなります。USDTは発行された価値と同じだけの米ドルを裏付け資産としています。

USDTのようなステーブルコインは裏付け資産があることで価格が安定しますが、万が一米ドルの価値が暴落した場合、USDTの価値も崩れてしまう弱みがあります。

リブラは、前述のように複数の通貨や公債を裏付け通貨にする「バスケット通貨」です。そのため、仮に裏付け通貨の一つの価値が崩れても、リブラの価値は保全される仕組みです。

ここで重要なのはLibra協会が裏付けとして、膨大な量の資産を保有するという点です。

100社のコンソーシアムからなる「創立者」

リブラネットワークへの参加は、当初はLibra協会に参加を認められた「創立者」のコンソーシアムで運用されます。

ホワイトペーパーで「創立者」と表現されていますが、言い換えれば投資家です。投資家は裏付け資産をLibra協会に入れるかわりに、対価としてリブラを受け取ります。クローズドなICOと似ています。

そして創立者として名を連ねているのは、名だたる世界的企業ばかりです。協力なコンソーシアムと言えます。

リブラのパートナー企業

出典:https://libra.org/ja-JP/partners/

この創立者を、Libra協会は2020年のリリースまでに100社募る予定です。

多くの企業が参加して、Libra協会の巨大な資産を運用していきます

巨大なリザーブの利子による配当

リブラ協会のリザーブ

前章で解説したように、リブラは膨大な裏付け資産を、創立者たちで運用していくことになっています。

リブラでは裏付け資産のことを「リザーブ」と呼びます。

このリザーブの運用方法について、ホワイトペーパーには以下のように書かれています。

リザーブ資産に付与される利子はシステムの経費をまかなうために使用します。これにより低額の取引手数料を保証し、エコシステム立ち上げのために資金を提供してくれた投資家(「Libra協会」については こちら」を参照)に配当を支払い、さらなる普及と成長を後押しします。リザーブに対する利子の分配ルールは事前に設定し、Libra協会が運用を監督します。Libraのユーザーはリザーブからの利益を受け取りません

そうです。リブラのビジネスモデルは、この巨額のリザーブから生まれる利子の配当によるマネタイズが軸となります

利子はシステムの運用経費として差し引かれた後に、創立者への配当に充てられます。

なお、リザーブそのものを投資家に利益として渡すことはしません。

リザーブについて(Libra)

Libraのホワイトペーパー(日本語)

Libra(リブラ)スケーラビリティのリスク

リブラのビジネスモデルは、様々な理由からFacebookにとって理想的だと言えます。

例えば、銀行口座は持っていないけれど、Facebookのアカウントを持っているユーザーを多く抱えています。特にインドのFacebookユーザーは2億人とも言われており、なおかつ海外で出稼ぎしたお金を国際送金する機会も多いそうです。

また、多くの大企業からリザーブを集めているのも、世界屈指のIT企業であるFacebookだからこそなせるワザです。

それではリブラは無敵かと言うとそうでもありません。

暗号通貨調査機関CoinCenterのエグゼクティブディレクターを務めるJerry Brito氏は、リブラのビジネスモデルはスケーラビリティに問題を抱えていると言います。

もしリブラが広く人気が出て、とても収益性が高ければ、一定数の限られたオーナーメンバーでインセンティブは許可型のままになるかもしれません。Facebookはこのような状況を避けようとするでしょうが、オーナーメンバーがこのインセンティブと誘惑に勝てるメカニズムはあるのでしょうか?

つまり、許可型で利益が出てしまうと、創立者に既得権益が発生してしまう懸念があるのです。

リブラネットワークは5年以内に非許可型に切り替える計画ですが、参加者が増えるほど創立者が配当で得るうまみは薄くなってしまいます。

この問題に対する解決策をリブラは示していないので、プロジェクトがスケールしていくための障壁にならないか、疑問が残ります。

さらに言えば、リブラ構想の発表を受けて、各国の政府が規制を検討するでしょう。

プライバシー保護に問題を抱えているFacebookが厳しい逆風にさらされるのは必至と思われますが、どのように状況を打開するのでしょうか。

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この記事の著者
久野太一
ライブドア、LINE、サイバーエージェントを経て福岡へ移住。福岡のベンチャー企業グッドラックスリーのブロックチェーン事業でICOのマーケティングとユーザーコミュニケーションを経験し現在フリー。
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