HOME ブロックチェーン技術 ブロックチェーン×ライドシェアサービス日本への参入は?

ブロックチェーン×ライドシェアサービス日本への参入は?

このエントリーをはてなブックマークに追加

日本ではなかなか定着しないライドシェアサービスですが、欧米ではもちろんのこと、アジアでも競争が活発になっています。

Uberなどの配車サービスが世界的に普及していることは広く知られていますが、そもそも日本で定着しない理由はなぜなのでしょうか。

また、配車サービスにブロックチェーン技術を用いるメリットはどこにあるのでしょうか。

世界のライドシェアサービスの勢力図

ライドシェアの市場規模はグローバルで見ると2017年時点で550億ドル、2022年には950億ドルにまで成長する見込みだとイギリスの調査会社のレポートで発表されています。

一方で、日本での市場規模を富士経済が調査した結果は2018年で1億円見込みとまだまだ。しかし、行政への働きかけやタクシードライバーの高齢化といった問題への解決策としてライドシェアが活発に利用されるようになり、2030年には131億円程度の市場に急成長する見込みとなっています。

つまりグローバルで見ても日本国内で見ても、大きな成長が期待されている分野です。

それでは、世界各国での利用情勢はどうなっているのでしょうか。

ライドシェアサービスと配車サービスの違い

本題に入る前に「ライドシェア」と「配車サービス」について簡単に解説します。

「ライドシェア」とは直訳すると「相乗り」ですが、一般的に言われるライドシェアサービスは、スマホアプリを介して相乗りさせてドライバーと目的地まで乗せてほしいユーザーとをマッチングするシステムです。基本的にドライバーはタクシー会社などに所属していません。

世界的に有名なライドシェアサービスには『Uber』などがあります。

対して配車アプリは、既存のタクシー会社で配車可能な車と、タクシーに乗りたいユーザーとをマッチングするシステムです。日本だとタクシー大手の日本交通が運営する配車アプリ『Japan Taxi』などが有名です。

米国でのUber対Lyftのマーケットシェアは2:1

米国でのUber対Lyftのマーケットシェアは2:1

アメリカのライドシェアシーンはUberとLyft(Uber同様の配車サービス)の一騎打ちの様相となっています。UberもLyftも自動車での送迎サービス以外に自転車や電動スクーターなどの事業にも参入しており、市民の移動手段の多くをワンストップで担っています。

マーケットシェアはUberが69%に対してLyftは29%。つまり比率は2:1で、この両者で国内のシェアをほぼ独占しているという状況です。

中国ではディディチューシンの独走

中国ではディディの独走

中国国内で2012年から営業を開始したディディチューシンは、まさに独走状態です。もともと、中国ではディディダーアチャーとクワイディダーアチャーという、それぞれテンセントとアリババが支援しているライドシェア企業がありましたが、これらが合併してディディチューシンが誕生しています。

さらに、ソフトバンクが約50億ドル出資したり、Uberの中国事業を買収したりと、もはや敵なしの牙城を築きました。

しかし近年、ドライバーによる乗客の強姦殺人事件が連発したため、ディディチューシンは安全対策に追われ成長に陰りが見えているのが現状です。

東南アジアで存在感が強いGrab

東南アジアで存在感が強いGrab

東南アジアではシンガポールに本社を置くGrabが存在感を強めています。東南アジアはUberも参入していましたが、事業をGrabに売却しています。実質的にUberの挑戦をGrabが退けた形です。

Grabはタイ、インドネシア、フィリピン、シンガポール、ベトナムでユーザーを急増させています。

ドライバーはそれぞれ国民の平均的な良い給料よりも高い水準で働くことができ、乗客は地元のタクシーよりも安く、なおかつ便利に目的地まで迎えることがうけているようです。

日本でライドシェアは白タク行為に該当

さて、日本に目を向けてみると、前述したように現状の市場規模は1億円と極端に小さいです。Uberも日本市場に参入してはいますが、タクシーの配車やフードデリバリーなどの事業展開はしているものの、ライドシェア事業にはノータッチ。

この原因は法制度にあります。日本ではライドシェアは「白タク行為」に該当するため、そもそもライドシェア事業を営業することができません。

アジアのブロックチェーン×ライドシェア

大企業によって覇権が争われているアジアのライドシェア業界に、ブロックチェーン技術を引っさげて参入しようとしている企業があります。

どんなサービスで、いかなる勝算を持ってこの激戦区に乗り込むのでしょうか。

韓国発『Tada』ドライバーが運賃全額受取

韓国発『Tada』ドライバーが運賃全額受取

韓国発のスタートアップMVLによるライドシェアサービス『Tada』は、Uberが撤退したシンガポール市場からライドシェア業界に参入します。訴求するポイントは「ドライバーのゼロコミッション(手数料なし)」です。

前述したようにGrabは東南アジアでドライバーへの好待遇を武器に事業拡大しましたが、Tadaもドライバーへの待遇で勝負する形です。

そして注目すべきポイントはもう一つあります。それはMVLがもともとブロックチェーン企業であるということです。

Tadaのデータはブロックチェーンベースで管理されます。既存のライドシェアサービスはドライバーの評価のみをスコアリングしますが、Tadaのブロックチェーンエコシステムによって、サービスにまつわる様々なものを一つにつなげます。

車の所有者、運転手、整備士、中古車ディーラー、モビリティサービス運営者、乗客など、すべてがTadaのエコシステムに包括されます。

多岐にわたるMVLのエコシステム

多岐にわたるMVLのエコシステム

Tadaを利用することで、これらのエコシステム参加者すべてにトークンによるリワードが付与されます。

リワードとして受け取ったトークンはTadaのサービスを利用する際に使えます。例えば乗客なら、乗車費用をトークンで支払うことができます。

Tadaに関わるすべての人と事業者が、エコシステムによって潤うという新しいライドシェアサービスです。

MVL創設者のKay Woo氏はThe Bridgeの取材に対して「ドライバーと独占契約はしない」「市場全体を押さえることは目指していない」などと答えており、むしろ将来的にはGrabやそのほかの競合とも協業していく方針だと言います。競争ではなく共存する戦略です。

さらにTadaはすでに2000人のドライバーが登録されており、近い将来に日本にも進出する計画があるようです。法律の壁はあるものの、停滞している日本のライドシェア市場に新しい風を送り込んでほしいですね。

中国でディディチューシンの牙城を崩す「VVShare」

中国でディディチューシンの牙城を崩す「VVShare」

VVShareの開発をweiboで明らかにする陳氏

ディディチューシンが独走態勢を続けている中国で、風穴を開けるために立ち上がったのが『VVShare』です。

VVShareが注目を集める理由の一つが、創業者の陳偉星(チェンウェイシン)のキャリアにあります。

陳氏はディディチューシンの母体のアリババ側の企業だった『クワイディダーアチャー』の元創始者という実績の持ち主。さらに、クワイディダーアチャーを売却した後にはブロックチェーン企業への投資を推進し、量子鎖、Huobi、波場などの中国のブロックチェーン企業への投資を成功させています。

まさに陳氏は中国のライドシェアサービスとブロックチェーンの両軸で成功を収めた人物なのです。

では、どのようにディディチューシンの牙城を崩そうとしているのでしょうか。ディディチューシンは圧倒的な資本力で瞬く間にシェアを広げましたが、ドライバーへの手数料が30%と高額なことが課題となっています。

ブロックチェーンはスマートコントラクトを用いて仲介手数料を削減することが得意ですから、VVShareはブロックチェーンのこの特性を利用してドライバーに格安の手数料でサービス利用してもらうことができます。

陳氏はWeiboでVVShareの開発は自己資金で行うと明らかにしており、実績に裏付けられた資金の潤沢さがうかがえます。

まだ実用化に向けた試験運用の段階なので詳細なプロダクトの情報は少ないですが、ドライバーに明確なメリットを提示できれば、ディディチューシン一強体制にも風穴を開けられる可能性はあります。

いずれは「自動運転×ブロックチェーン」が当たり前に?

ライドシェア市場が盛り上がるにつれて、自動運転への期待が高まっていきます。Uberのドライバーなどは職を失う可能性がありますが、利用者としては自動車を所有することなく、安価にどこへでも移動できるのは大きなメリットですよね。

タクシーがすべて自動運転になったら、車はほとんど道路というインフラを移動するネットワークのような存在になりそうです。

しかし、それほど巨大なインフラをサーバーで管理する場合、万が一サーバーが落ちたら交通網は完全にマヒしてしまいそうです。そういう意味でも、自動運転の管理はブロックチェーンのほうが適しているかもしれません。

ライドシェアとブロックチェーンの掛け合わせは、未来のスタンダードとして君臨する産業となるのでしょうか。

この記事の著者
久野太一
ライブドア、LINE、サイバーエージェントを経て福岡へ移住。福岡のベンチャー企業グッドラックスリーのブロックチェーン事業でICOのマーケティングとユーザーコミュニケーションを経験し現在フリー。
このエントリーをはてなブックマークに追加

MERCI COINは2分で完売!クロスエクスチェンジの”IEO”とは?

前の記事

タイムバンクの新機能でおトクな体験!始め方と使い方を解説!

次の記事

RELATED

関連記事