HOME ブロックチェーン技術 ブロックチェーン×音楽「Ujo Music」は業界の構造を変えられるか。

ブロックチェーン×音楽「Ujo Music」は業界の構造を変えられるか。

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2017年末の高騰以降、やや低迷が続く仮想通貨市場ですが、根幹技術であるブロックチェーンは以降も発展を続けています。今回取り上げるのはブロックチェーン×音楽のダウンロード配信サービス。Ujo Music(ウージョミュージック)について掘り下げます。

Ujo Musicとは?サービスの概要

Ujo Musicは、ブロックチェーンを活用した音楽のダウンロード配信サービスです。2015年ごろから開発をスタートさせ、2019年3月現在正式にサービスとして運用されています。

Ujo Musicでは、ブロックチェーンの持つ非中央集権性、透明性、非改ざん性といった特長を活かし、ミュージシャンとリスナーを直接つなげるプラットフォームを構築しました。Ujo Music上でユーザーは、イーサリアムを用いて音源をダウンロード購入できます。イーサリアムブロックチェーンの技術であるスマートコントラクトを応用し、Ujo Musicでは音楽の自動販売機さながらのサービスを実現しました。

ユーザーが支払ったイーサリアムは、契約に基づき直接ミュージシャンへと届けられます。ここに販売店やサービス管理者の仲介はありません。Ujo Musicはブロックチェーンを活用することで、音楽販売におけるクリアなお金の流れを実現しているのです。

Ujo Musicのメリット

Ujo Musicのメリット

Ujo Musicのメリットは、リスナーとミュージシャンを直接つなげる音楽販売サービスである点にあります。従来のサービスでは、ここに販売店やサービス管理者などの存在が不可欠でした。ユーザーが音楽のために支払ったお金は、仲介したすべての人に分配されます。ミュージシャンの手元には一握りしか残らないことが問題となっていました。この点において、仲介者が限りなく少ないUjo Musicは、リスナーとミュージシャンにとって、とても効率的なエコシステムだと言えるでしょう。

また、近年音楽体験の中心となりつつあるストリーミングサービスでは、利益分配率の不透明性が問題となっています。この問題はストリーミングサービスが出始めた頃から再三にわたり問題視され続けているもの。問題の種類は変わってきていますが、本質的な解決にはいまだ至っていません。

2018年12月に掲載されたローリングストーン誌の記事によると、多くのストリーミングサービスは「単純な比例分配システム」によって、ミュージシャンへ還元しているといいます。しかしこのシステムは、ミュージシャン間の不公平性を抱えるものなのだそう。

例えば、あるミュージシャンAの1か月の再生回数が、全ユーザーの1か月の再生回数の5%をカウントしたとします。この月、ミュージシャンAは全ユーザーが支払ったサービス利用料総額の5%を入手できるそう。これは一見すると公平なシステムのように思えますが、実はそうではありません。なぜなら、ユーザーの中にはミュージシャンAの曲は一切聴かず、別のミュージシャンBだけを聴いている人がいるからです。

本質的にミュージシャンにとって公平なシステムであれば、ミュージシャンBだけを聴いているユーザーが支払った利用料は、Bへと還元されなければなりません。Bの曲しか再生しないユーザーがいるにもかかわらず、Bの曲が持つ再生回数が全体にとってわずかだとしたら、既存のシステムではBは微々たる金額しか手に入れられないことになります。

実際に、ストリーミングサービスでは、上位0.4%のミュージシャンに、全体の10%近くに上る金額が支払われているのだそう。このことはリスナーとミュージシャンにとって健全な状態ではありません。Ujo Musicのシステムは新しい時代の音楽体験が持つ問題も解決できるものです。

Ujo Musicが抱える課題

Ujo Musicの課題

一方で、Ujo Musicには課題も存在しています。

まず最初に、イーサリアムでなければ支払いができない点です。現状、仮想通貨は決済手段として十分に浸透しているとは言えません。Ujo Musicを利用したいと考えるリスナーやミュージシャンが現れたとしても、そのためにイーサリアムを購入したり、ウォレットを用意したりするのは現実的ではないでしょう。

また、仮想通貨には手数料が多くかかってしまう問題もあります。リスナーの支払うお金をより多くミュージシャンへ届けるエコシステムだったはずが、多くの手数料を取引所やマイナーに支払っていては本末転倒でしょう。販売店とサービス管理者が取引所とマイナーに代わっただけのシステムと言っても過言ではありません。

システム面にも課題を抱えています。

それは、音楽データの容量が大きすぎて、ブロックチェーン上では管理できないという点です。Ujo Musicでは、リスナーからミュージシャンに支払われるお金の部分こそブロックチェーンを活用し、メリットを享受していますが、それ以外の楽曲データや著作権情報は、従来のデータベースで保管しています。結局のところ、ブロックチェーンのメリットを享受するために、現状不便な仮想通貨で支払わなければならない不完全なサービスだと言えるでしょう

最近では、ブロックチェーンをつかわず高い還元性を誇る音楽販売サービスなども登場しています。このあたりのサービスとの差別化という意味では、メリット・デメリットのバランスが合っていないのが現状です。業界の構造に一石を投じるプラットフォームなのは間違いありませんが、実際にスタンダードとなっていくためには、まだまだ解決すべき課題を多く抱えています。

この記事の著者
結木千尋
ユウキチヒロ。名古屋在住のフリーライター・インタビュアー。 3度の飯よりサブカルチャー(音楽・映画など)が好き。 ここに書ききれないほどの趣味とこだわりがあります。 詳しくはこちらから↓
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