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タイムバンクはどこへ向かう?提携・新機能から見える戦略とは

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専門家の時間を取引するマーケットプレイスとしてメタップスが2017年9月にリリースした『タイムバンク』。堀江貴文さんやはあちゅうさんなど、リリース当初から多くの著名人が参加して注目を集めました。

また、メタップスの創業者である佐藤航陽さんは実業家でありながら、著書『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』が大ヒットするなど、未来を予測する先見性が注目されているオピニオンリーダーでもあります。

タイムバンクはこれまで1年以上運営されてきた中で、様々な新機能の追加や提携を実施してきました。それらの動きが示す未来はいったいどのようなものなのでしょうか。タイムバンクが描いていく新しい経済の形を解説します。

タイムバンクとは

まずはタイムバンクについて簡単に解説します。タイムバンクはこれまで専門家が441人登録され、流通した金額の累計は31億円に達しており、着々と実績を重ねています。

タイムバンクの主な機能は専門家の“時間”を通貨のように取引することです。タイムバンクのユーザーは主に3種類に分けられます。「時間を取引する人」「時間を使う人」「時間を売り出す人」です。

時間を取引する

マーケットプレイスではタレント、アスリート、経営者などの個人だけでなく、チームやプロジェクトの“時間”が仮想通貨取引所で言うところのトークンのように取引されています。時間は10秒単位で取引可能です。

専門家によって10秒あたりの価格は為替のように変動します。そのため、価格が低い時に時間を購入して、価格が上がったら売ることも可能です。

時間を使う

購入した専門家の時間は条件を満たせば、専門家ごとに決められた『リワード』を利用することができます。例えば、人気の編集者である箕輪厚介さんの場合、リワードは以下のようなものが利用可能です。

コンテンツコンサルティング
1,200〜18,000秒
提供可能な内容
制作物(コンテンツ)
プロモーション
ブランディング(会社員の方の個人ブランディングも含む)
マネタイズ
ライティング
本の出版・編集

講演
3,600〜18,000秒
提供可能な内容
制作物(コンテンツ)
プロモーション
ブランディング(会社員の方の個人ブランディングも含む)
マネタイズ
ライティング
本の出版・編集

専門分野の相談・アドバイス(ビデオチャット)
1,200〜18,000秒
提供可能な内容
制作物(コンテンツ)
プロモーション
ブランディング(会社員の方の個人ブランディングも含む)
マネタイズ
ライティング
本の出版・編集

LINEグループ参加券
10秒
提供可能な内容
専門家が開設するメンバー限定のLINEグループへの参加が可能です。
気になる情報や日々の活動から、ときに飲み会のお誘いなどを投稿していく中で、コミュニケーションを取っていただけます。

時間を売り出す

タイムバンクで専門家になる方法は2つあります。

  • 投票所で申請:ユーザーからの投票をもとに、一定の条件を満たしたユーザーは時間を販売することができます。
  • スコア診断で申請:タイムバンクではオンライン上の影響力をスコア化して、一定のスコア以上のユーザを対象に、時間の発行(販売)を申請できる仕組みを採用しています。

この条件を満たして専門家として登録されると、マーケットプレイスで時間が売買可能になります。

タイムバンクの提携とその意図

タイムバンクのこれまでの提携は数多くありましたが、その中にはいくつか今後の方向性が見えるものがあります。

明確に感じる道筋はふたつあるように見えます。ひとつは「お金という感覚が希薄化」すること。そしてもうひとつは「リアルからバーチャルへの進出」です。

お金という感覚が薄れていく

タイムバンクは専門家やインフルエンサーを多く抱える組織との提携を積極的に進めています。

エイベックスとメタップスで立ち上げた合弁会社meeの立ち上げはわかりやすい例です。エイベックスが得意なアーティストのプロデュースと、メタップスが得意な最新のマーケティング知識を掛け合わせて、タイムバンクでの収益化を仕掛けています。

アーティストやタレントの時間はそれ自体が価値を持っています。さらに、お金はデジタル化が進んでいて目に見えないものになりつつあるので、タイムバンクの利用者はだんだんと「お金」という存在を意識しないまま消費活動をできるようになっています。

 

同様に、東南アジア圏で人気のあるインスタグラマーを束ねるタビピクとも提携をしています。タビピクに所属するインフルエンサーを合計すると8.4億のフォロワーにリーチできるというから強烈なインパクトです。

「お金が希薄化する」ことを裏付けるように、メタップスの佐藤さんはForbesのインタビューで以下のように話しています。

絵を書く時間や、漫才をする時間、コンサルティングをする時間といった具合に、その人が得意としていて価値を発揮できる時間をお金に換えて、取引所の内で売買する仕組みですが、今度は時間が本当の通貨になって、実際の社会でモノやサービスを直接買うことができるようになるかもしれません

個人が持っている「価値」をそのままモノやサービスに変えることができる社会がタイムバンクを通じて実現するかもしれません。

リアルからバーチャルへの進出

お金がデジタル化することで、お金という概念が希薄化するのならば、リアルとバーチャルの境目も曖昧になります。

あたらしい経済のインタビューで佐藤さんはもはや、現実の経済さえ「脳の錯覚」かもしれないと語っています。

VRで感覚を再現出来るようになれば、可能です。脳に刺激を与えて錯覚させれば何でも出来るようになります。脳が錯覚をしていれば、それは、ほぼ「現実」なのです。

実は今の経済も、ある意味私たちの脳の錯覚かもしれませんよね。実は経済って形がないものですよね。人が作り出した虚構・幻想でしかない。でもこの状況で私たちが社会を回せているということは、バーチャルリアリティを現実化している行為だとも言えます。

自分自身が身に付ける洋服などにお金をかけるよりも、VR技術が発達することで、バーチャル世界の中でお金を消費する未来が来るとにらんでいるのでしょう。

タイムバンクでもその未来を先取りしたサービスがすでに取り入れられています。声優がキャラクターの外見を用いて表現することで人気となったバーチャルYouTuber(VTuber)の時間もタイムバンクで取り扱いできるサービスが開始しています。

リワードは「ボイスメッセージのプレゼント」「VRでのコミュニケーション」などといったもので、まさにリアルからは離れたバーチャルな特典です。

バーチャルでの消費が拡大するようになれば自ずと、先行していたタイムバンクが有利に事業を展開していくかもしれません。

タイムバンクのブロックチェーン対応の真意

タイムバンクは仮想通貨取引のようなシステムではありますが、決済手段は日本円なので現時点ではブロックチェーンでの取引はされていません。

ただし、今後ブロックチェーンに対応する余地は多いにあります。

ブロックチェーンによる報酬システムの導入

正確に言えば、タイムバンクは一部ブロックチェーンに対応ずみです。

タイムバンクで取引される時間とは別に、イーサリアムベースのトークンを報酬としてユーザーに配布しています。トークンは時間の購入など、タイムバンクへの貢献に応じて支払われ、5年間で配布を完了する予定です。

仮想通貨ユーザーならば馴染みの深いエアドロップと似たようなキャンペーンです。エアドロップの本来の目的は、初期のユーザーに無償でトークンを配布することで流動性を高めることです。

タイムバンクのトークン配布も同様の目的があると考えると、今後はブロックチェーンベースのトークンが主な通貨になる可能性も大いにあります。

データの信頼性をブロックチェーンで担保する狙い

佐藤さんは前述のForbesのインタビューで、ブロックチェーンを導入するメリットは「信頼性の担保」にあると語っています。

SNSの「いいね」やフォロワーの数は容易に想像できると思いますが、これからデータ化できるものはすべて通貨の役割を担っていくでしょう。その価値をきちんと証明できることも重要で、グーグルやアマゾンのようなプラットフォーム、もしくはブロックチェーンのような改ざんできない技術によってデータの信頼性が担保されていくと思います。

「いいね」やフォロワーの数までも通貨の役割を担っていくと佐藤さんは想像しています。つまりそれは、タイムバンクが抱える専門家やインフルエンサーのパワーがそのまま通貨となる世界です。

その世界を実現するため、ブロックチェーンによってデータの信頼を担保する必要があるのならば、タイムバンクがブロックチェーン対応するのは必然のように思えます。

気鋭の起業家である佐藤さんが、タイムバンクを通じてどのような新しい経済の姿を見せてくれるのか、今後も期待したいところです。

参照記事

エイベックスとメタップスの新合弁会社 mee 設立のお知らせ

タグピク、時間を売買できるマーケットプレイス「タイムバンク」と連携。

VTuber(バーチャルYouTuber)の時間も販売可能になりました

メタップス・佐藤航陽に関する記事

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仮想地球『EXA』がコミュニティ規模拡大 発起人に‎佐藤航陽‎氏

タイムバンクがトークン報酬プログラム開始 ユーザーの貢献度に応じて配布

この記事の著者
久野太一
ライブドア、LINE、サイバーエージェントを経て福岡へ移住。福岡のベンチャー企業グッドラックスリーのブロックチェーン事業でICOのマーケティングとユーザーコミュニケーションを経験し現在フリー。
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