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FacebookのLibra(リブラ)に潜む6つのリスク

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Facebookが公開したブロックチェーンを活用した金融インプラプロジェクト『Libra(リブラ)』に対する様々な意見がメディアで飛び交っています。

ホワイトペーパーや公式ページなどを見ていると、エコシステムの概要はよくできていて、技術者向けのドキュメントも充実している印象です。

しかし、仮想通貨は規模が大きくなるほど様々なリスクと対峙することになるのがクリプト界隈では一般的です。

Facebookのような巨大企業ともなれば、向き合うリスクも数多くあります。

それでは、今のところ具体的に考えられるリブラの抱えるリスクを洗い出してみましょう。

各国政府による厳しい規制

各国政府による厳しい規制

存在感の大きい仮想通貨はいずれも厳しい規制を受ける懸念があります。

もちろん、規制は悪いことではなく、事業者と消費者が安心してサービスを利用できるための下地にもなります。

その反面、規制を受けることでサービスが立ち行かなくなり撤退に追い込まれるケースもこれまで多々ありました。

リブラは主要国の金融当局で組織される金融安定理事会(FSB)でも議題に挙がる可能性があり、議長のクオールズ氏は以下のように懸念を述べています。

(デジタル通貨が)小口決済の用途で幅広く使われるなら、当局が厳密に審査して、高い基準の規制に従わせる根拠になる

引用:日経新聞

Facebookは規制への対応はもちろん念頭にあるようで、リブラが発表される以前からイングランド銀行総裁のマーク・カーニー氏からアドバイスを受けている様子が報じられていました。

スケーラビリティ問題

スケーラビリティ問題

リブラは許可されたメンバーのみがネットワークに参加できるコンソーシアムを組織しています。

このメンバーで、「リザーブ」と呼ばれるリブラの裏付け資産を運用するのです。

発表された時点では28のメンバーが参加表明していますが、2020年のリリースまでに参加者を100にする予定です。

そして、リリース後5年以内には「許可型」から「非許可型」に移行する計画となっています。

非許可型にすることで、誰でもリブラネットワークに参加可能なスケーラビリティのある通貨となることを表向きには謳っています。

しかし、リブラのビジネスモデルはリザーブの利子の配当です。リリース当初は、巨額のリザーブの利子による配当を限られたメンバーで受け取ります。つまり、「許可型」の方が利益が大きくなる可能性があります。

これを「非許可型」に移行してしまうと、既存のコンソーシアムメンバーの配当の取り分が少なくなってしまいます。

既得権益が発生してしまうため、スケーラビリティしないネットワークとなってしまうリスクがあります。

ターゲット市場で事業展開しない?!

FacebookのLibra(リブラ)に潜む6つのリスク

リブラ最大の特徴は「途上国ユーザーのための金融インフラ」です。

Facebookのユーザーが多い国は1位がアメリカ、次いで2位がインドです。インドは銀行口座を持たない人や、出稼ぎで得たお金を母国に送金する人が大量にいます。

単純に考えると、リブラのメインターゲットはインドにあるイメージがありますよね。

ところが、リブラの広報担当社は「Calibra(リブラを利用するためのアプリを開発・運営する会社)はインドでは展開しない」とTechCrunchの取材に対して答えました。

というのも、インドでは仮想通貨に対して慎重な姿勢をとっていて、仮想通貨の利用を禁止しているのです。

インドと同じように、中国、イラン、北朝鮮などでも展開しない予定となっています。

メインターゲットとなる市場に展開できない状況でもリブラは国際的な金融インフラとなれるのでしょうか。

リブラのコンソーシアムは中央集権なのか

リブラのコンソーシアムは中央集権なのか

イーサリアムの共同創設者ジョセフ・ルービン氏はリブラについて「非中央集権の羊の服を着た中央集権の狼のようだ」と非難しています。

ルービン氏はリブラが28社という限定的なメンバーからなるコンソーシアムを組織していること自体が、中央集権的で信頼に値しないと主張します。

ルービン氏はイーサリアムの創業者なので多少のポジショントークも入っていますが、完全な非中央集権システムであるイーサリアムと比較すると、確かにリブラは中央集権的であるとも見て取れます。

前述の通り、2020年のリリースから5年以内に非許可型モデルに移行する計画ではありますが、その計画が順調に遂行されるかはわかりません。

28社のコンソーシアムが談合して、ネットワークに悪意を持った攻撃をする可能性はゼロではありません。

談合のリスクのケアとして、リブラはコンセンサスアルゴリズムに「ビザンチンフォールトトレランス(BFT)」というシステムを導入しています。

このコンセンサスアルゴリズムを端的に表現すると、ネットワークに悪意のあるメンバーがいたとしても、システムが滞りなく稼働するのが特徴です。

しかしBFTが正しくワークするかは、リリースしてみないと分からない部分ではあります。

Facebookが抱える未解決のプライバシー問題

リブラとは直接関係がありませんが、Facebookはプライバシー保護の観点からいくつか問題を起こしていて、未だ解決には至っていません。

問題が解決しないままリブラを発表したことに対して、米国下院金融サービス委員会のマキシン・ウォーターズ委員長は、問題が解決するまでリブラの開発は停止することを求める発言をしました。

最悪の場合、Facebookはこの指示に従ってリブラのプロジェクトをストップさせるリスクがあるのです。

法定通貨の価値が下がる懸念

法定通貨の価値が下がる懸念

リブラの登場を危機に感じているのは、競合の仮想通貨プロジェクトやフィンテック企業だけではありません。

Facebookほどのプレイヤーがデジタル金融インフラに参入すると、既存の法定通貨の価値が揺らぐリスクがあります。

世界的なIT企業が『GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)』と呼ばれて話題となってる要因は、国家よりも大きいユーザー数と予算を持っているためです。

Facebookは20億を超えるユーザーを抱えていて、その数は世界のどの国よりも多いものです。

そんな巨大なユーザーが一斉にリブラを使い始めれば、途上国などの法定通貨の価値が暴落する可能性も考えられます。

危機を感じた国々が、リブラと共存する道を選ぶのか、リブラを敵対視して守りを固めるのか、現状では見極めがつきません。

途上国の人々が、リブラを利用しているか否かで経済格差が生まれることもあるでしょう。

Facebookは世界中の政府や金融当局と対話をしなければいけない難しい立場に直面しています。

この記事の著者
久野太一
ライブドア、LINE、サイバーエージェントを経て福岡へ移住。福岡のベンチャー企業グッドラックスリーのブロックチェーン事業でICOのマーケティングとユーザーコミュニケーションを経験し現在フリー。
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Libraは広告に次ぐ柱となるか?Facebookの狙う壮大なビジネスモデルを解説

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